斜め上75度の景色。



「あの後、すごい友達に笑われたんだよ?」



ナンパされて、そしてその人とかき氷早食い対決で優勝したあたしたちを見ていた友達は最初は羨ましがってたのに

次郎が中学生と分かった瞬間、涙を流しながら大笑いして、馬鹿にしてきた。



「中坊にナンパされてるって」



口を尖らせながら少し次郎を睨む。



「中坊って……でも俺だって、笑われたよ」



「なんて?」



「ババアにナンパしてるって」



「ば、ババア…」



中学生から見る高校生はババアなのか…。


じゃあ、明日で高校生を卒業するあた
しは何になるの…。



「おい、元気だせよ。雛子ババア」



「ババア言うな!」



睨んでみるけど次郎には全く効いてなかった。



「なぁ、そろそろ帰ろうぜ」



「そうだね」



先に立ち上がって砂浜を歩く次郎の背中を見る。




「…次郎」


あの時、ナンパしてくれた時。


あたしがなんで次郎のナンパに乗ったかあなたはきっと分からないよね。




『ねぇ、俺と一緒に遊ぼうよ』


振り返った瞬間に見たあなたのとびきりの笑顔に心を奪われたなんて



きっとあなたは一生知らないんだろうね。


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