あなたは私の王子様。―Princess Juliet―
「確か昨日はフォンヌ卿と会談
でしたわよね?
それで昨晩は西部の離宮に
お泊まりになったはずでは…」
「あぁ。終わらせたさ。
予想外にフォンヌ卿の機嫌が良くてね。
早々に引き上げることが出来たんだ。
それに…」
そっとジルの薄い金色の髪をつまみ上げた
ハインツは微笑んだ。
「眠るなら愛しい妻のそばで
眠りたいものだろう?」
叔母のいびりにも耐えた鉄壁の笑顔を
総動員させたジルは
起き上がってパンと手を叩いた。
「誰か!殿下がお目覚めです。
仕度の用意を!」
外へ向かって声をあげると
心得たとばかりに侍女が部屋へ雪崩れ込む。
「殿下、朝のお仕度を」
「妃殿下、こちらへ。
本日も良いお天気でございますね…」
侍女に手をひかれ、
ジルは隣の続き部屋へと移動する。
「では殿下。また後程お会いしましょう。」