『短編』理想の上司



結局、データを完成させることができたのは夜の8時を回った頃だった。

「意外に手強かったな」

課長は自分の肩を揉みながら、できあがった集計表を眺めた。

「本当にありがとうございました」

あたしは膝に顔がつくくらい頭を下げると。

「じゃあ、お礼をしてもらわないとな」

と言って、課長はにやりと笑った。

あたしは慌てて辺りを見回した。

電気がついていたのは、あたしと課長のところだけだった。

あ。

もう誰も残っていない!

「紗智が欲しいな」

「えっ」

欲しいって……

それは、その、どういう……。

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