『短編』理想の上司
「君以外の女、興味ないから」
えっ?えっ?え――っ??
戸惑いおろおろしている間に、またくちびるを奪われてしまった。
だけど、驚きのあまり目を閉じるのを忘れてしまって。
呆然としていると。
「目、閉じろよ」
「す、すみません……」
とは言ったものの。
今更目を閉じるのも自分からキスをせがんでいるみたいで、なんだか恥ずかしい。
そんなことを一瞬考えただけで、その場の空気がぐっと冷めたのがわかった。
すると、課長はふっと笑い。
「メシ、行こうか」
あたしの髪をそっと撫でた。
「はい」
「その後は、君をいただくから」
そう言って、にやりと意地悪な笑みを浮かべて、あたしのおでこにそっとキスをした。
あたし、どうやら、課長の彼女……になったようです。
fin