『短編』理想の上司


んっ!!

強引に押しつけられた永瀬課長のくちびる。

逃げようとしても逃れられない情熱的なキス。

あたしは、そのキスに不覚にも溺れてしまった。

永瀬課長はそっとくちびるを離すと、

「俺の女になれよ」

と、耳元で囁いた。

抜け殻のようになってしまったあたしは、ただ呆然と立ち尽くしてしまっていた。

ただただ突っ立っていると、永瀬課長はあたしが必死に探していた資料をいとも簡単に見つけだし、

「戻るよ」

と言い残して、さっさと資料室を出ていってしまった。


その場に取り残されたあたしは、ぼんやりと永瀬課長の背中を見送り、しばらくしてからはっと我に返った。

い、いったい、今のは何だったの??

何が起こったの??

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