菜の花の君へ
和之が真剣な顔をしているので、さすがに智香子も同様を隠せず、椅子から転げ落ちそうになる。
「おおーーーっと。すまん・・・驚かせすぎたか。
おまえが誰でもOKするっていうから・・・。」
「じゃ、今のは・・・」
「冗談・・・でもない。」
「えっ?」
「担任の先生なんて俺にとっても残酷だったさ。
けど・・・あれは生活のけじめとしていい方法だったと今では校長に感謝してるくらいだ。
今の生活だってどんなふうになるかわからなかったときだったからな。」
「あの・・・かずくん。何の話をしてるの・・・。
私はもうすぐ独立できるからって話を・・・」
「俺が頼めば誰でも結婚してくれるんなら、おまえだって例外じゃないだろ。」
「いや、今の話は私は入ってないから。
私はそんなふうにかずくんのこと見たことないし・・・。」
「だろうなぁ。じゃ、誰でも結婚するなんて言うな。」
「ごめん。わかったから真顔で怒らないでよ。
でも、もったいないなぁ・・・このままひからびたジジイになっちゃうなんてさ。」
「誰がこのまま干からびるだぁ!ちょっとばかり渋さが加わった方が魅力的だっておまえみたいなお子様に言ってもわかんないよな。」