菜の花の君へ
智香子が人形劇のメンバーに挨拶をして帰ろうとすると、リーダー格の3人がお礼を述べた。
「急に二人も欠席になってしまって、一時はどうなるかと思ったけれど、あなたが参加してくれてほんとに助かったわ。
大きな声じゃ言えないけど、湯河くんだけじゃあまりに素人すぎてどうなるかとヒヤヒヤしてたの。」
「いつも欠員が出ると湯河先輩が入るんですか?」
「まぁ、このボランティアサークルは彼の経営会社みたいなものだからね。
でも、ふだんは余程のことがないと自分では演じないよ。
誰かひっぱってくるのが専門かな。
今日はきっと君と楽しみたかったんじゃない?」
「ええっ!・・・そ、そんなことないですって。」
智香子はふだんとなんら変わらなかった湯河だったと思った。
まわりがわざと面白がって言ってるのだろうと笑って流して帰宅の途についた。
帰宅して10分ほどして、湯河から智香子の携帯にメールがきて、帰宅する少し前に家に電話をしたら、お兄さんに活動には参加させないと言われたが何かあったのか?という内容だった。
智香子はすぐに和之の部屋に走っていき怒鳴り込んだ。
「私がボランティアサークルに参加しないなんて勝手に決めないでよ!」