菜の花の君へ

和音は口をへの字に曲げると智香子に背を向けて言った。


「そんなに出ていきたいところなんだね。ここは・・・」



「えっ・・・。（何？私何か悪いこといった？どうしてそんなに落ち込んでしまうの？）」



「君のいうとおり１０万円とりあえず、置いていくよ。
ただ、この家で僕にまきこまれてしまったら、君は高い経費をかけてもらうことも起こるからね。

そのときは、僕が現物か現金支給するか、カード払いで調達させてもらうから拒絶しないでほしい。
これは僕の頼みだし、そうしてもらわないと、僕は社長としてはずかしい思いをしてしまう。」



「そ、そうなの。わかったわ・・・確かに立場があるわよね。
でも、基本はお金なんかいらないわ。」




「君も強情だな！君がいらなくても、使ってもらわなくは困ることを解いたばかりだというのに・・・とにかくここでは僕のいうことをききなさい。」



「プライベートには口を出さないって言ったくせに勝手だわ。」



「勝手なんかじゃない！そうしないと智香が困ることになってしまうから必死に訴えているのに！・・・あ、すまない。智香と言ってしまった。」




「智香でいいです。私はここのルールはわかりません。
わかりたくもありません。・・・でも和音さんが困るなら従います。
それでいいんでしょう？」