菜の花の君へ
おおらかすぎる和之にふりまわされるたびに、家で言い合いになって・・・。


(指摘しちゃうよねぇ・・・。だって家族だもん。えっ家族・・・。)


智香子は今の家族は和音しかいないんだ・・・と思った。

厳密には和音は他人で、家族でいるつながりといえば和之の弟だからという理由だけなのだが、一緒に暮らして一緒に食事して、生活費をもらっている。



では和音は智香子が来るまではどういう家族との暮らしがあったのだろう。
そんな疑問が頭をよぎる。


両親がなくなってから、和之と再会して会うようになったと和音は言った。

(ご両親とどんな会話をしていたのかしら。
お父様の後を継いで会社の社長になって夢ややりたいことをあきらめた・・・って和音さんのやりたいことって何なんだろう。)



とにかくいちばん困っていた明日必要なお金は手に入ったし、智香子は現実はなるようにしかならないのだと思って眠った。







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