菜の花の君へ
「すまない、言い過ぎた。
僕はこうやって君を傷つけることばかりする。
あまり話さない方がいいかもしれないな。
時間だ・・・先に出かける。」
「待ってください。お話はしてください。
私が傷つくなと思っても話してください!
だって、だって家族はもう2人しかいないんでしょう。」
「なっ・・・変なことを言うんだな。
つながった過去が出てくる会話をすれば、君は傷つくことが多いはずだ。
僕は相手をいじめるような会話は望まない。
確実に負ける相手と将棋やチェスの勝負をしないのと同じだ。」
「家族の会話は勝負じゃありません。
そりゃ、傷つくことは出てくるでしょうけど、今だって和音さんはすぐに謝罪したじゃないですか。
言っちゃいけないことを言ったけど、私だってお金の使い方が無知すぎたって反省することになったんだし、得ることも多いんです。
だから、一家だんらんってわけにはいかないでしょうけど、こんなちょっとした時間には話してほしいです。」
「そうか・・・。そこまでいうなら。
けど、僕からも条件をつける。
今のように感情的になるまでの間にその話はやめろ、嫌だと意思表示をしてほしい。
会話して泣かれてばかりではとても話せない。」
「はいっ。そうします。いってらっしゃい。」