菜の花の君へ
智香子は早紀世に嘘を言い放ってしまったことに少し驚きを感じた。


（和音さんは夜は遅いときも多いけど、きちんと家に帰宅してるし、朝は私と朝食を食べてくれている。

友人を呼んだって余り多すぎるほどの敷地と部屋数だけど、私の生活を脅かす人にはきてほしくない・・・。）



「ち～か～～久しぶりぃ～！」


「那美。メールいつもありがとね。」



友人の那美も和音と家のことには興味を持っているようだったが、那美の気になるのは智香子が結婚指輪をしていないところだったらしい。


わけを話すと、那美は智香子の頭をなでながら言った。


「うん、わかるよ。智香子とっても健気にがんばってるんだね。
大きなお屋敷に住んでるってきいたけど、いいもの食べさせてもらってないんじゃない？
前より痩せちゃってるよ。

お屋敷でもしかしてこきつかわれてるとか？
メイドさせられちゃってるの？」



「そんなことないって。
ただ、昨日まで食べ物が喉を通らない日が多かっただけ。

もう大丈夫だから・・・。」



「まだ、大丈夫って顔をしてないから親友は心配してるんだよな。」



「湯河先輩！！」
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