菜の花の君へ
腕組みをして、難しい顔をしていた和音だったがいい機会だと言って、智香子を書斎へ連れていくと、帳簿を広げた。
「詳しく言ってもわからないだろうから、うちの資産についての説明だけ話すからきいてくれ。
確かに、この家で今までのようにはいかなくなる。
それは両親が残した負の資産だ。
かなり減らしたが、儲かれば働いてくれた社員に還元する方が先だと思ったんだ。
バカなうちの親の尻拭いなど、ゆっくりすればいいかと思ってたけどそうもいかなくなってね。
兄さんが亡くなって・・・僕としたことが数日油断してしまったうちに父親の息のかかってた連中に足をすくわれた。
僕を応援してくれた社員も多いから、あがいてきたんだけど・・・若い社員の家に脅迫状めいたものが届いたり、今度は和紗が襲われて。
覚悟を決めた方がよさそうだ。
でも、そんなことがまかり通ってそのまま進めばきっと会社はつぶれるだけだと思うし、そうなったときに、僕を支えてきてくれた人たちには申し訳ないと思ったんだ。
だから、僕は自分ひとりだけからスタートしてがんばりたいと思う。」
「すごく大きなことを言ってる気がするんですけど、ひとりでスタートしていずれ社員の人たちを迎えることができるほどのアテがあるんですか?」
「アテにできるほどの強力なコネとかはない。
けど、僕個人の人脈はある。
気になるのは重役たちがどういう嫌がらせの手をまわしてるかだけど・・・。」
バン!!!
智香子はテーブルをたたいて強い口調で言った。
「だったらなおさら、私なんか養ってる場合じゃないでしょう。」
バンバン!!!
和音もテーブルをたたいて反論しかけたが、溜息を1つついてつぶやいた。
「言い方を変えるよ。僕とルームシェアしてください。
もしかしたら、君のバイト代で養ってもらうかもしれないし。」
「えっ!?・・・・・はぁ?」