菜の花の君へ

なんとなく、和音が求めるゆとりの1週間の意味が智香子に見えてきた。

本人が言うように気合をいれたり、心身のリフレッシュの意味もあるだろう。

そして、その中には会社と両親と兄弟と過去のすべてを清算する意味が強いのだと。


智香子は新居の整理をしながら勉強しているので、気をつけていってらっしゃいと和音に伝えた。



新しい住まいの中で使う家具や電化製品などはすでに引っ越し業者が配置し終わっていたので、重いものやすぐに必要になるものを和音はさっさと出し終えて、どこへいくとも言わず、車で出ていってしまった。



しかし、智香子との約束どおり、夕方になるとどのあたりに居て、どんな人に会って、どういう絵を描いたなどメールや電話があったので、智香子にはそれがうれしかった。





「へぇ・・・智香子がうらやましいーーー!
未亡人になってきびしいお宅で肩身が狭い生活をしてるのかと心配してたのに、いつのまにかイケメンで年上の義弟サマとそんなことになってるなんてぇ。」



「あ、もうすぐそのイケメンおにいさまがお戻りなんでしょう?
だったら、もうお屋敷じゃないんだから私たち、お家へご招待してほしい!
ねぇ、だめ?」



智香子と同じクラスの友人の那美と夏妃は目を輝かせて、智香子にせまってきていた。

正直に話すのではなかったと智香子が後悔しても、もう遅かった。

とりあえず、和音の許可がとれたらという条件付きでその場をおさめた。
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