恋花

「・・・うん。」

 愛奈が言った。

 




 私はあのとき信じてた。

 愛奈は絶対に
 
 ”そんなことない”

 と、言ってくれると。

 ほんのちょっとでも、私は期待してた。

 だけど、そんなの結局口だけだったんだ。










 あの日から、私から笑顔が消えた。

 人を信じるのが怖くなった。

 人を信じることができない人間になっていった。

 



  
 その次の日。

 学校へ行くと、香澄たちに会った。

 目が合った瞬間、ふいっと目をそらされた。

 周りの子も、なんだかヒソヒソ話をしていた。

 怖かった。

 すべて、私の悪口なんじゃないか。

 いじめられてしまうのではないか。

 怖くて怖くて。

 結局、早退をした。


 


 次の日。

 学校を休もうと思った。

 仮病を言ってみたものの、ママには通じなかった。

 無理やり学校へ行かされた。

 教室に入った瞬間、みんなの視線が私に集まった。

 視線が痛かった。
 
 自分の席の引き出しに教科書を入れようとしたら、あるものが入っていた。

 割れた鏡。

 
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