君にあげるたった一つのもの。
「ソーいや、名前ってなに?」

「…宮野曖璃。」

「かわいい名前っ」

誰かが言った。たぶん龍ではなくて、女子だ。

皮肉で言ったんだと思う。

だって、小学校のときこの名前のせいで、

いじめられてたもん。

「フーン。漢字ってこう書くんだろ?」

龍は、周りの女子をおいて私のところまで来た。

私のノートを勝手に広げてかいた。

「こう書くんだろ?」

「…」

私は、ノートを受け取る。


 
 宮野 愛里


ぜんぜん違う。


「こうじゃない。」

私は、ノートに正しく書いてあげた。

 

  宮野 曖璃

「わかりずらっ!」

「…」

「感に触ったなら、ごめん。」

「別に。」

ただ、ウザったいだけ。

女子の視線が。


  ガラッ


ドアが開くと、

「おはようございます!」

先生が入ってきた。

「えー。はじめまして!今日から、皆さんの担任をします。綾瀬 嘉南です。」

「まず、出席番号順に、自己紹介していきましょう。えーっと1番は…」

「早坂 龍くん!」

ガタッ

龍がたった。

「早坂 龍です。よろしくお願いします。」

自己紹介なのに、それしか言わないのかい。

2、3、4、5、6…






「宮野 曖璃さん!」

「はい。宮野曖璃です。よろしく…」
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