『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
謎の逃亡劇~その5~(最後のパーキングでの出来事)
「姉ちゃん!
姉ちゃん!」
体を揺さぶられ…頬をペシペシと叩かれる感触を感じ私はボンヤリ瞼をあけた。
「あれ…?
ここどこ…?」
まだ慣れない瞳で起き上がり周囲を見回した。
「何…!
寝ぼけてるんだよ…!
つうかっ…姉ちゃん…!
寝言も寝笑いも酷いから…ほんと大丈夫かよ!」
諷馬が私の頭をクシャクシャと撫でた。
「えっ…!?
私…。
寝言…?
寝笑い…?」
諷馬の言葉の意味が理解出来ずに、私は寝ぼけたままの頭を抱えた。
「そうそう…!
突然…神事がどうとか…美濃の姫がどうとか…。
普段聞かないような言葉使ってると思ったら‥突然笑いはじめたり…こっちはずっと気味悪くて鳥肌総立ちだったんだけど…!」
怪訝な顔をして眉間に皺をよせた諷馬が私の寝言にクレームをつけた。
「…夢だったんだ…。
私…。
夢の中で“吉乃”って呼ばれてたの。」
「それって‥。
今日‥日本史の講義で見た夢の続き?」
大きく頷き先程見た夢を諷馬に話して聞かせた。