『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「うーん…。
確かに…信長公は吉乃を寵愛していた事は確かだけど…三三九度とかやったとかいう伝承は聞いたことないなあ…。」
夢の話を聞き終えた諷馬のコメントに私は「そうだよね…。」と頷いた。
「でも…なんでそんな夢見たんだろう。」
窓の外の景色を見ながら深いため息がフロントガラスにあたり白く曇った。
「前に俺聞いたことあるんだけどさ…。
人間の脳って別に意識してなくても…たまたまみた景色やたまたま聞いて頭にインプットした情報が夢となって組み込まれることがあるらしいから…たまたま何かで聞いたことが夢の中に出てきて…それで似たような情報と重なったんじゃないのかなあ…。」
「そうだね…。
織田信長の話授業で話してたの寝ぼけて聞いてたのかもね。
それ以外考えつかないよね。」
諷馬の気遣いに私は作り笑いで答えまた外の景色を見た。
「そうだ…。
もうすぐ関西上陸だよ。
京都っていったらやっぱりおたべとかだよな…!」
空元気な私に気づいた諷馬は話題を変えた。
「うん…。
お土産に買わなきゃね…。」