『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 その様子に気づいた権田教授は私と徳家君を交互に見て尋ねた…。


 「何かあったのかね?」


 「あっ…。
 いやあ…それが…。」


 徳家君に背中を押され…権田教授に夢の話を切り出した。


 「…君の夢にはいつも驚かされるな!」


 夢の話を聞いた権田教授が…腕を組ながらうなった。


 「やっぱり…。
 ただの妄想でしょうか?」


 おそるおそる権田教授の顔を伺いながら尋ねた。


 「いや…。
 ただ…幾つかの不思議な点があるのは…君が生駒屋敷の存在を知っていた事が驚きだ。
 吉乃の兄…八右衛門の事についてもそうだしな。
 授業でも…生駒屋敷については触れた事もないと思うんだがどこで生駒屋敷の情報を聞いたのかね?」


 権田教授の質問に私は慌てて自分の記憶を振り返ったが…歴史が不得意な私が生駒屋敷の情報を知っていることの方が不思議だし…そもそも生駒屋敷がどこに所在してるかも知らない。
 それなのに…生駒屋敷での出来事を夢にみた理由を説明するには…いくらいろんな情報が折り重なり夢に見たというには完成されすぎの様な気がする。



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