『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
霧が晴れていく…。
その中に私は立っていた。
霧だと思っていたその場所は…やがて炎を連ねた。
霧じゃない…。
これは…。
白煙…?
次々に燃える白煙の中に炎が漂うのをみつけ…出口はないかと目を凝らした。
白煙は爆風に流されていく方向に…人影を見つけた。
「あなたなの…?」
夢の中で尋ねたその影は…ゆっくりと振り返る…。
「約束を果たしにきたぞ!」
白煙の向こうから手を差し出された。
「殿…。」
爆風で流された白煙の中から差し出された手をとる為腕を伸ばしたところで…。
「姉ちゃん!」
ボンヤリとした視界に映る人影の向こうなモヤが消えだんだんと形どった声の主に激しく体を揺さぶられその姿を確認する。
「諷馬…!?」
最初は事態が飲み込めず辺りをキョロキョロ見回したが…ほど良くして夢だったんだと気付いた。
「また夢か…!?」
「姉ちゃん…!?
オレ…!
見ちゃったよ…!?
幽霊…!?」
蒼白な顔立ちに身を震わせた諷馬に面食らい尋ねた…。
「どーゆう事?」