『武士ドルが斬る!?』〈前編〉

謎の逃亡劇~その7~(京都入り)



 「いよいよ京都入りだ…。」


 ウトウトとうたた寝をこいでいた私は…弟の諷馬の声に気付き目を覚ました。


 標識に“京都東”の文字を見つけホッと安堵の息を漏らした。


 「いよいよだね‥。
 姉ちゃん‥!
 さっき変な言い方してごめんな‥!」


 運転しながら謝った諷馬の言葉に驚き首を横に振った。


 「気にしてないよ!
 気にしてたら‥ぶん殴ってるしね!」


 拳を握り殴るフリをして笑った様子に‥諷馬は寂しそうな表情で笑った。


 「姉ちゃんらしいよな‥。
 姉ちゃんの見た夢信じるよ。」


 「いいよ!
 別に無理強いはしないから‥!
 無理強いする時は‥存分にこき使わせてもらいます!」


 悪戯に舌を出して笑った私をみて諷馬も声を揃えて笑った。

 「姉ちゃんが優しくしてくれるのって俺だけの特権だと思ってたよ。

 でも本当はいつからなんだろう?」


 「えっ‥?
 いつからって‥?」

 ひとしきり声を揃えて笑った後に呟いた諷馬の言葉に私は再度尋ねた。


 「‥俺もみたよ。
 姉ちゃんと同じ夢‥。」


 「えっ…!?
 マジで??」


 突然の爆弾発言に私の心中は揺さぶられた。


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