『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 京都東の標識が近くなり本線から出口へと進路変更をした。


 「うん…。
 まあ…とは言っても3人だけの祝言を覗き身してた忍びの1人だったんだけどね!

 でも生駒屋敷で忍びとして仕えた時から吉乃様に惚れてたみたい…。
 そんな時によりによって…殿なる織田信長様が現れて…吉乃様を横から奪った。
 俺なんか吉乃様がいつか俺のモノになったらいいなーなんて夢描いてただけだったのに…殿は欲しいモノは力づくで奪う…。
 そんな人だったからね。

 あっ…。
 でも死ぬ時までずっと思い描いてた事は叶ったよ。」



 諷馬の言葉に何故だかわからないけど切なくて胸がキュンとなった。


 作り話や私の夢に感化されてといった類のもので馬鹿げていると聞き流す事が出来ないほど切なさに胸を締め付けられた。


 「どんな事を願ったの?」


 聞いてあげなきゃいけない気がして…私は諷馬に尋ねた。


 「…俺だけの天下にしたいので吉乃様と兄弟になりたい!って思ってたんだ!
 すっげえ野心家だよね!!」



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