『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「出過ぎた議の多いおなごだ!?」
意味深な濃姫の言葉に殿は悪態をつきながら悪戯な笑みを浮かべたそのやり取りに、その場にいた者がこらえきれずに吹き出した。
殿はその状況にひとまず胸を撫で下ろし私をゆっくり下ろして、私の手を温める濃姫の手の上から重ねた。
「謹んで生駒の方様に我ら一同お仕え申しまする。」
その光景に御家来衆が一斉に平伏し忠誠を誓った。
「吉乃‥。
家来が一気に増えたのだから‥早よう元気になり濃とこの城を支えてくれ‥。」
殿の真剣な眼差しに私は‥この先自分の命が儚いものだと誰よりも知っていたから頷く事は出来なかったが、殿を始め濃姫や迎えいれてくれた御家来衆の皆様の気持ちに感謝の念を込めて深々とお辞儀をして笑みを返した。
「殿…。
早うお部屋へ‥。
生駒のねえ様を案内してくださいまし‥。」
「言われなくても‥わかっておる!」
濃姫に指図されてふてくされ気味な様子で‥再び私を抱きかかえ身を起こした殿は‥御家来衆に見送られるなか部屋を後にして私の為に用意してくれた部屋へと足を進めた。