『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「明智殿…と言われますと殿の御家来衆に加わった方ですわよね…?」
確認するように尋ねた言葉に…濃姫は頷き私の身体を支えながらゆっくり横に倒した。
「ええ…。
私の母…は明智殿の叔母に辺ります故…私とは従兄弟でもあり縁者でございます。
父…斎藤道三についた後…母方の縁を頼り朝倉義影様を頼り足利義昭公に…美濃を奪還した殿に…京へ出向き征夷大将軍に任命してもらう為の援護を頼むように仰せつかり再会いたしました。」
「まあ…。
それは…。
濃姫も…いろいろ事情が多き身…。
明智殿は…その事をご存知なのですか?」
濃姫は…私の言葉に深く頷き再び言葉を繋げた。
「勿論…。
存じてますとも…。
…ですから尚更厄介な事にならなければよいがと考えておりまする。」
濃姫は…重くため息をついて…私の手を握った。
「それで…離縁を…?
殿は…なんと…?」
濃姫は…訝しげな表情で小声で答えた。
「殿は私の事情もお察しになり…離縁も致し方ないと言ってはおられましたが…戦にでる傍ら城を任せる者がいないというのは…敵に宿代わりにどうぞ!と言っているようなものだと言ってもおられました。
それに…。」