『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
濃姫の言葉に我が耳を疑った…。
「暦って…?」
暦の事なんて気に留めた事のない響きに違和感を感じたのも無理はないのだが…この頃の日の本の暦は、季節感が大きくズレていたため各地に不等な暦が混用していた為…農民達すらも農耕の為独自で作った雑記帳などを工夫しながら作物を作っているという話を聞いて…陽隠れ(日蝕)の蝕を見ながらボヤいていた事があった事があったが…まさか…。
胸騒ぎとともに弱った心の臓が軋みながら痛んだ。
「生駒のねえ様…!?
大丈夫ですか?」
胸を押さえた様子に…濃姫は慌てて私の身体を支えた。
「はあ…。
大丈夫よ…。
殿は…まさかそんな大それた事を朝廷に申し立てようと…?」
痛みに悶えながら…声を絞り出した私を心配そうな表情で気遣いながら濃姫は頷いた。
「ええ…。
着々とその準備を進めようと計算まで施したり…異国でも年号の改定に積極的に努めている話を宣教師達から聞いたようで…万民がアテにしてない暦を定めていても仕方ないとか言い出して天下統一に先駆け改定を求めようと考えているみたいですわ…。」