『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
はあ…。
気持ちは…わかるけど…。
…そんな事をしたら余計敵を増やす事になりかねないだろうか…。
胸元を押さえつつ…私は胸騒ぎに身悶えた。
「生駒のねえ様…!
余計な事…話してしまって申し訳ございませぬ…。」
私の様態を気にした濃姫に“大丈夫”といってなだめた。
「‥いいの‥。
教えてもらえて嬉しいわ‥。
濃姫もイロイロ思い悩むとこがありましょう‥。
殿が朝廷に暦の申し立てをおこなってしまえば‥。」
震えた手で痛みをこらえながら濃姫に尋ねると‥彼女はゆっくり頷いた。
「ええ…。
朝廷だって黙ってはおりますまい…。
そんな事になれば…。」
濃姫は…言葉を言いかけ俯いたその瞬間…。
バンッ…。
扉を横切る影がゆらりと動いたのが見えた後突然…。
「ぐはっ…。」
悲鳴とともに…背中に楔を受けた忍びが痛みに悶えた姿を表し私と濃姫にきりかかってきた……。
ザンッ…………。
鈍い音と生ぬるい匂いが一瞬鼻をついた。