『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 背後から楔を突き立てられ悲鳴と共に倒れ込んだ者の前に音も立てずに現れた人物が立ちはだかる。



 やがて…。



 その人物は…私達にきりかかってきた者の首に手をあて…指で脈が途切れた事を確認すると…その者を軽々と担いで一時扉を開けて地面に寝かせると再び部屋の中に戻ってきて跪いた。



 「…肴…。」



 ポツリと呟いた言葉に…顔をあげたのは生駒の屋敷に仕える忍び通称、肴であった。


 「お部屋が血なまぐさい匂いになりました事…お許し下さい。」



 丁寧に挨拶した肴は‥片手を床につき跪くと頭を深く下げた後口角を上にあげた。



 「さすが‥生駒の屋敷の忍び‥。
 仕事が早いですわね‥。」




 濃姫が感嘆をもらしながら言葉をかけた。



 「お誉めの言葉恐縮至極に存じます。」



 再び手を床についたまま一礼をした肴…は顔をあげて私を見つめた。



 「お身体の具合は‥?」



 私の身体を労う肴に笑顔で頷いた。



 「大事ありませぬ‥。」



 「はっ‥。
 お舘様より‥警護せよとの後達しで控えております故‥安心してお休み下さいませ。」



 片手をついたまま深く一礼して私の体をねぎらった。


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