『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
前を走る遥か遠くに彼らしい姿が見え続いているのが…遠目だけどわかった。
追いかけて何をしたいかわからなかったけど…とにかく会って言わなきゃって想いが先行した。
病院内でいい大人が走ってるわけだから…当然道行く人に白い目で見られながらもそんな中をただひたすら駆け抜けやがて中庭へと出た時だった。
「生駒の姉さま!?」
…ふと背後から聞き覚えのある声に呼び止められて足をとめた。
「濃姫…。」
どこで合流したか全く気がつかなかったけど…私の背後に続いて走りよった濃姫と一緒に息を荒げた。
「…殿…見ませんでした?」
「えっ…。
どーゆう事……?」
濃姫の言葉に自分の耳を疑い尋ねた…。
「それが…。
殿に生駒のねえ様の話を切り出されて…ほとぼりさめるまでは…ねえ様にお会いするのを控えた方がいいと申し上げましたら…そんな悠長な事言ってられる事態か…っと飛び出してしまって…。」
濃姫は…申し訳なさそうに私に気遣いながらいきさつを話してくれた。