『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 “ふーん…。
 これも…借りてみようかな?”


 資料を閉じてクルリと振り返ったその先に…少年が私をじっとみたまま気配を消して立ち竦んでいたのに驚き声をあげそうになったのをこらえた。



 はあ…。
 ビックリしたわーーー!?


 「お姉ちゃん‥。
 それ‥借りるの?」


 少年は私の手に持っている本を指差した。


 「えっ…。
 う…うん…。
 そうよ!!
 もしかして…僕も借りるの?」



 少年は…首を横に振った。


 「それ‥。
 パパが書いたんだ…!」



 「パパ…?」



 少年は…大きく頷いた。



 「そっかあ…。
 僕…。
 学校は…?」



 どうみても小学生が…こんな平日の日に図書館にいるのを不思議に思った私は…少年にさりげなく尋ねた。


 「僕のせいで…。
 パパとママが喧嘩ばかりするから…僕…家に帰らない事に決めたんだ。
 学校に行ったら家に帰らなかったりしたら先生達に迷惑かかるから僕…家に帰らない事にしたんだ!」


 えっ…!?
 いやいや…それは…属にいう家出というもので…それは不味いだろう!?



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