『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「…織田三郎信長って名前だったんですねっ!!」
あまりにも驚いたせいか…とぼけた事をいう愛を見て殿は尋ねた。
「こちらでは…なんという名前で伝わっておるのじゃ…?」
「これは…失礼いたしました。
こちらでは…一般的に“織田信長”公として広く伝わっております。」
「ナルホド…。
それで名前を名乗っても…皆、困惑しておったのじゃなあ…。」
ふむふむ…と頷き殿は満足そうに答えた。
まあ…もちろん皆が困惑していたのは、それだけじゃないと思うけど…(汗)と内心思いつつ殿の話に愛想笑いを浮かべた。
「あのさー!
前から聞きたかったんだけど…(汗)
…だいたいなんでこの時代にくる事になったわけ…?」
ふてくされがちに話を聞いていた諷馬が‥話が途切れたタイミングを計り尋ねた。
「うむ…。
まあ…話せばひたすら長く険しい道のりになるのだが…吉乃が病で倒れた後…病を治す方法がないか…宣教師達に尋ねた時になくもないがと差し出されたのが…“魔王の書”だった。」