『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「計算外だなんて…(汗)
濃姫が一緒についてきてくれたから殿だって今があるのですよ!
濃姫に失礼です!」
私の言葉に…殿はニコリと笑って…また続けた。
「まあ…確かにこちらにきてからの事など…考えてなかったからな…!
ただ京都で吉乃が狙われた時…やはりここにいてはいかぬと思い…権田教授と戸塚教授に協力を依頼して…実際元の時代に帰ろうと施しを行ったが失敗して年と身体が若返ってしまったのだ…。
だから…吉乃…。
わしは決めたのじゃ…もう後には引けぬ…。
そなたと共にここで生きると…。
ただ濃も巻き沿いになってしまって同じく年も身体も若返ってしまった…。
濃が施しの術に何を望んだかはわからぬが…それが達成せぬ事には濃も帰れぬ事になる。
わしは…せめて濃だけは返してやりたいのだ…。」
殿の言葉が静まり返った部屋に強く響いた。
「ちょ…ちょっと 待って…!
あんた…!
帰れなかったっていったい施しの時に何を望んだんだよ…?」
頭を抱えながら諷馬が尋ねた言葉に殿は私に視線を移したあと真っ直ぐに見つめた。