『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
芸能界デビュー天下統一への道のり!~波瀾万丈伝:その1~(VS 猿カメラマンを斬る!?)
―1―
チチチチ……。
小鳥の囀りが朝焼けの光とともに部屋に差し込んでくると同時に、部屋中に立ち込められる香ばしい香りに鼻をそそられて目がさめた。
「おはよー。」
「おはよ…。
ごめんね…。
なんか手伝うよ…!」
玉じゃくしを手に持ちつつ…寝ぼけ眼の私を出迎えた未茶に気づき慌てて起きようとした時、両側で私の腕をしっかり掴まむ殿と弟に自由を奪われ身動きとれない事に気づく…。
「いいよ…。
いいよ…。
ゆっくりしてて…!
朝ご飯になったら起こしにくるからもう一眠りしてて…。」
クスクスとその無様な格好を見ながら笑った未茶は…香ばしい香りがするキッチンへと姿を消した。
左に…諷馬。
右に…殿。
…という両手に何とか~という状態で身動き出来ないまま首だけを左右に動かしてまるで磔〈ハリツケ〉されているかのように身動きがとれず重い溜め息を吐いた。
昨日夜遅くまで私達は賑わいだ後…そのまま雑魚寝の状態で眠りにつき―――朝…まさかのこの状態である。