『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「…逃げるのか!?」
突然放たれた殿の言葉に…諷馬はピクリと震え扉の前で足を止めた。
「わっ―――――!?」
殿の言葉に怒りが炸裂した諷馬は拳を握ると‥お腹の底から声をあげて殿に殴りかかった。
“ガシッ‥‥!!”
殿は諷馬の拳を片手で受け止めていた。
両者の睨みあいが続く‥‥‥。
私は間に挟まれてただうろたえるばかりだ‥。
「臨むところだ!!!
弟…!!
強くなれっ…!!
これしきの力ではわしは死なぬぞ!
吉乃が欲しければ‥わしを殺し奪いとればよかろうっ‥!!」
イヤイヤ‥。
殿‥それはかっこいいセリフだけど‥この時代ではかなり危険思想でただの人殺しですからっ―――!!
諷馬の拳をつかみニヤリと笑った殿に諷馬は………というと厳しい顔つきで言葉を返した。
「姉ちゃんの名前は…“吉乃”じゃなくて“真帆”今の現代名で呼んでやれよ!」
「吉乃に聞いたら‥お好きな方でっと申したからのう‥!
しかし相変わらず小さい事を申して‥貴様は女かっ!!
一層の事頭を丸めて出家したらどうじゃ?」
ニヤリとしたり顔を浮かべた殿に挑発された諷馬は…また更に殴りかかれろうとした…………。