『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「吉乃…。
わしは…そなたに負担をかける為にここにきたわけじゃないのだからそんなに案じずともよい!!
安心して待っておれ…。」
そんな事出かけの喧嘩を見せつけられてから言われても…(汗)
私は苦笑いでごまかしたが…殿はそんな私の不安な心を見透かしたのかいきなり私の手をぐいっと引き寄せたかと思うといきなり私の腰あたりを…ぐいっと宙に持ち上げたかと抱っこ状態で私の顔を見上げた。
「ちょっと…!
殿…!!
下ろして下さいましー!!」
「危ねえだろーが!!
おろせよー!!」
殿の突然の行動に…諷馬も驚き声を怒鳴った。
「吉乃…。
大丈夫だ…。
俺を信じろ!」
殿は私の体をまるでこどもみたいに抱き上げたまま見上げて不敵な笑みをみせた。
その笑みが私の脳裏に焼き付き軽くデジャヴを呼び起こした。
「お帰りをお待ちしております。」
殿が戦にでる前の日…。
こうして見送ったあの日の事…。
あれは…今川軍の大軍が迫ってきていた出陣の前夜の光景だ‥。