『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 普段では…考えられない程の動転ぶりに権田教授が訳を尋ねると…生唾を呑み込みゆっくり語り始めた。


 「…信じられないのだが…最近、ちまたで起きている痴漢事件で着用された…毛筆や指紋が検出されたサンプルを比較していた時にわかったのだが…最初に事件があった場所に付着していた場所にも同じ指紋が検出されたんだ…。


 しかもその場所は…あの織田信長公が自刀した本能寺敷地の地下らしく寺の下には…秘密のお堂があったみたいなんだが…そのお堂からも同じ指紋が検出されたんだよ…。


 これが…何を意味しているのかわかるかね…。」


 「まさか…。
 本能寺の変でその場所に逃げ込んだ者が…数百年の歴史をへて現代までその場所で生きていたという事を言いたい訳ではないよね。」


 戸倉教授の言葉に驚いた権田教授も有り得ないと言葉を詰まらせた。


 緊張が受話器の向こう側から伝わってきて二人はいろいろ仮説がないか頭の中で組み立てては見たもののどれも…しっくりくる理由は見つからなかった…。


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