『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
囁かれた言葉に一瞬身体全身が凍りついた。
どうするべきかかなり迷ったけど…先程のKen-sinの様子から想像して知られてはいけない事情があるように察して…とりあえず恐る恐る顔を見上げた私はあくまでも聞こえないフリをして首を傾けシラを切った。
しかしKabutoもそんな私の行動を見切っているのかあざとい微笑を浮かべた。
「…大丈夫…?
かなり顔色悪いみたい…?
スタッフさんに頼んで放送局の中で少し休んだらいいよ…。」
完全に逃がさないモードで…私の体を気遣うフリをしつつ肩に手を回した時…張られたファンを合間をこじ開けてロープを潜り抜けた人物は…賺さず肩に伸ばされた手を掴み睨んだ。
「吉乃にふれるな!!」
血走った目でKabutoを睨むと掴んだ彼の手を払いのけて私を支えた。
「大丈夫か…。
吉乃…。
すまぬ…。
人混みに阻まれた故駆けつけるのが遅くなった。
立てるか…?」
「殿…。」
まさに地獄で仏の心境で殿の出現を素直に喜んだ私は…殿に支えられたまま身を任せた。
殿はがっしりと私の体を抱き留めながら…時おりKabutoを睨みつけた。