『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
なんだか戦慄な雰囲気に周囲も只ならぬ息をのみ一瞬沈黙のまま2人を見守った。
それも…その筈…。
あのFurinkazanのKabutoの表情が一辺して無表情に変わった事なんてみたこともなかったからだろう…。
――――しかも…。
去り際に殿とKabutoの両者は真っ直ぐ睨みあいながら…口元には好戦的な笑みを浮かべたその辛辣な状況を目の当たりにしたスタッフすらも入り込めない程緊迫した空気を張り詰めていたからだろう…。
そんな状況下の中…殿は私の肩をしっかりと抱き寄せたままロープを潜り抜け前列の人垣の中につっけんだ。
不穏な空気を感じたKabutoは大きい溜め息を漏らした後…ファンの前で左手を右胸に添えた後一礼した姿が人垣の隙間から見えた。
「キャッーーーー!!
Kabutoーーーーーー!!」
周囲はその紳士的なお辞儀にまた再び黄色い声をあげるその中を耳を塞ぎつつ人垣の出口を目掛けて肩をぶつけながら進み…ようやく最後の列を抜けてラジオ局の通りの道へとでた。