『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「大丈夫か…?」
通りにでるなり殿は私を気遣い声をかけた。
「ええ…。
大丈夫…。
殿は…?」
私の言葉に深く安堵の息をつき…また人混みの向こう側をみつめた。
“ブッ‥ブッ‥ブッ‥ブッ‥ブッ‥‥‥‥‥。”
携帯のバイブ音に気づき私は慌ててポケットから携帯を取り出して着信ボタンを押した。
「もしもし…。」
私の第一声に受話器から大声をあげる諷馬の声が聞こえてきた。
「ちょっと―!!
姉ちゃん!!
今…どこにいるんだよっ!!」
思わず電話口を遠く引き離しながら諷馬が話終わるのを待ちゆっくりと受話器を近づけた。
「…ちょっと…。
そんなに大声で話さなくても聞こえてるわよ…!!
それより…今どこにいるの?」
「つーかあ…!
それは…こっちのセリフ…。
アイツもいるんでしょ?
アイツに面倒なことばかり引き起こすなよって言って聞かせ説いてよね!!」
私の問いにかなり早口で興奮しながら放った言葉に“…わかった”と言って頷き今の現在地を知らせて電話を切った。