『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「まあ…いきさつはこんな感じだ。
次のパーキングで自分の車に戻るからまた何かあったらメールの交換か電話でやり取りをしよう。」
「わかりました…。
じゃあ赤外線でメルアド交換して下さい。」
私の言葉に権田教授は頷いて自分の携帯を渡した。
私は自分の携帯を取り出して教授の携帯を向き合わせると…そのまま赤外線でアドレスの送受信を行い交換は完了し権田教授に携帯を返した。
「じゃあ…パーキングに入りますね。」
ちょうど前を走る日本史サークルの運転する車に続き流れるように本線からパーキングの路線に進路変更をしてそのままパーキングの駐車場へと進んだ。
『プルルルル…。』
駐車場にたどり着いた時‥車内に着信音が鳴り響いたのに気づき権田教授は携帯のディスプレイを確認して慌てて着信のボタンを押した。
「はい‥。」
一見いつもと変わらない低く‥厳つい声で第一声を放った受話器の向こう側からなのに聞こえる程の大声を放ち話始めた。
「権田教授‥!
またもや大変な事になった‥。
例の金判の逃亡者が現れたんだが…もしかしたらもう京都から県外にでたかもしれないんだ!」