『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
私は彼の腕を引っ張り反対側のカップコーヒーの自販機側に身体を向けさせた。
「最近の自販機っていろんなボタン多くてどこ押していいかわからないですよね。」
無言で…また立ち竦まれると厄介な雰囲気を察知した私は…彼の顔を覗きながら自動販売機を指差した。
「ここに…硬貨を投入して…ランプがついたボタンを押すんです。」
「硬貨…?」
私の説明にぼそりと呟きその男性は面食らって尋ねた。
「えっ…?
ああ…!もちろん紙幣でも大丈夫ですよ!
ここに書いてある10000円札とかなら両替必要ですけど…5000円札なら大丈夫です!」
私の説明になんだか納得していないのか…首を傾けると私にたくさん入った巾着袋をいきなり渡した。
ジャラジャラと音がなり、ズッシリとなぜか重みのある巾着袋をいきなり渡されて面食らう私…。
「ようわからん…。
どれでもよいから選んでくれ!」
なんだかふてぶてしい物言いにムッとしながら…「はあ…。」と口を尖らせて呟きつつ巾着袋の中身を開くと…有り得ない程…鬼のように硬貨が入っていた。
“なんだ‥持ってるじゃん‥!
かなりの小金持ちね!!”
中身を確認しヤバイものじゃないことを安心して硬貨を投入した。