『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
変わった人…。
もう…私の中ではその言葉につきるその人物は…やがて自販機にしがみつく勢いで手触りで機械を確認してみた。
やがて軽快な音楽が止まり…“ドリップコーヒーが出来上がりました!”というガイダンスとともに取り出し口の扉が開いた。
「変わったモノだな…。
これは…なんと申す?」
子供みたいに目を輝かせ自販機から紙コップを取りだした。
「あっ…。」
じゃあ…私はここで~と立ち去ろうとしたところに先程の温いカプチーノを渡した。
「もう一度頼む…!」
先程のヤバそうな雰囲気とは一変し…子供みたいに無邪気に自動販売機ごときに喜ぶこの男性の様子に面食らいつつもどこか懐かしさを覚えて私は微笑んだ。
「じゃあ…あと一回だけですよ!」
仕方ないなあ…もう一回だけ付き合ってやるかという気分になるのもおかしな話だけど…なんだかその無邪気さに顔が次第にほころぶ。
私…って意外~!
ギャップフェチだったのね…!
…なんて自分で思いながら先程渡された温いカプチーノを渡して再度…硬貨を投入した。