『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「同じモノでいいですか?」
私の返答に…その男性は何度も頷きなが目を輝かせた。
「早よう…!
せえっ!」
〈現代訳:早くしろ!〉
その様子に私は…また同じカプチーノ・砂糖ありのボタンを押した。
またもや軽快な音楽が流れてくる様子に…物珍しそうにカプチーノが出来上がるのを待つその不思議な男性をなんだか憎めなくなっているのに気付いた。
「なんだか…不思議に憎めない人ですね。」
その様子を背後で見ていた徳家康幸君が私と彼のやり取りを見ながら微笑んだ。
「徳家君もそう思う? 」
私の言葉に柔らかい笑顔を浮かべて頷いた。
「ちょっと強面だったので…かなり意外です。」
「確かに…!」
徳家君の言葉に私は…なんだかおかしくて吹き出しながら男性を見守った。
やがて軽快な音楽が止み…二つ目のカプチーノが出来上がった事を知らせるガイダンスが流れ取り出し口の扉が開いた。
「はい…。
もうこれでおしまいです!」
紙コップを取り出したのを確認しながら…もう一度と催促されないように巾着袋を渡した。