『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「やめぬか!!
忠興っ………!」
ガラシャさんの体を支えて厳しい目つきで相手を睨み据えたその恐ろしい眼力に忠興さんは思わず声を奮わせた。
「お…お…お…御館様!!」
突然の殿の出現にまるで物の怪でもみたように恐怖に震えて真っ青になった忠興さんを後目にガラシャさんの身を起こした。
「大事ないか?」
「ええ‥。
どうもありがとうございます‥。」
「夫婦喧嘩は犬も喰わぬ!!
仲睦まじくする気がないのなら…今ここで別れろ!!」
殿の罵声が忠興さんに向けられ…彼はグッと唇を噛み締めた。
「いや…。
それは…。」
モゴモゴと口調で言葉を口ごもりながらガラシャさんをチラリとみた忠興さんは俯いた。
「嫉妬もいい加減にせいっ!!
みっともない!!
だいたいお主…玉を責めるために束縛するために生まれ変わったわけじゃあるまい!!!」
殿の一喝が私達の胸にもガツンと響いた。