『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
殿の真剣な表情に…忠興さんも力なく地面に座りこんだ。
「…玉よ…。
わかってやれ…!
お主を大事に思うばかりに…周りを敵にまわしてしまう哀れなこの男を…。」
ガラシャさんに向けられた言葉に…彼女もそばにいた者も胸を打たれた。
「…わしは思う…。
大事に思うと憎しみが生まれる…。
大切に扱うと恐れが生まれる…。
大事に大切に想うが故じゃ…。
今ここでその誤解を説かねばどうするのじゃ…!
生まれ変わってきた意味がなくなるぞ!」
殿の真剣な眼差しに…ガラシャさんも忠興さんも殿の言葉にハッとしたような表情で互いをみたのを殿は二人の手をとって重ねた。
「是非に及ばず…じゃ。
過ちは…前世で十分受けたじゃろう?」
二人は“殿”と一言呟いて重ねられた手を見つめた。
「夫婦喧嘩ダメダヨ!!」
教会の扉から顔を覗かせたヤスケと共に明石少年も扉の隙間から顔を覗かせてその様子を見守る姿がを見つけた。