『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
最後…涙ながらに光秀の思いをこらえていた気持ちと一緒に明石少年は流した。
「…2人が喧嘩するたび…僕のせいだって思ってた…。
責められてるみたいで…。
そしたら…誕生日の6月2日…あの夢を見たんだ。
話さなくちゃって思って…打ち明けたら朝廷の手の者が今度は付け狙ってきてて…どうにもならない状況になっちゃって…また2人に迷惑かけちゃって…ゴメンナサイ…。
本当にすまな…かった…。」
涙ながらにしゃくりあげつつ言葉を伝えた明石少年と明智光秀の想いの声が重なった。
「…どんな罪でも受けるから…もう喧嘩しないで…。」
泣き声とともに…堰をきったように400年ぶりの届かぬ想いが形となった。
「まあ…そーゆうわけじゃ…!!
わしに免じて許してくれ!」
殿は…涙で濡れる明石少年の頭をクシャクシャと乱暴にかき乱して2人に伝えた。
「許す…?」
二人は…顔を見合わせた。
「…子は宝というからのう…!
わしも…もっと信忠や信雄と天下不賊以外の話をすれば良かったとそれだけが心残りじゃった…。
特に信忠に関しては…晩年は意見があわず本能寺の変が起こった時も信忠が起こしたんじゃないかと最初は思ったほど通じ合えなかった。」