『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
殿は夜空の流れる星を見つめた。
「信忠はわしを恨んでいた…。
吉乃が病に伏しているのに…天下統一だけを目標に追い続けていた事を…。
信忠と最後にあった時………そう思った。
ご武運を…とだけ言い残して去っていたその表情に吉乃と重なってのう…。
止めようとしたが…なんと声をかけてよいかわからなかった…。」
信忠との最後あった時の事を話し再び二人を見た。
「…だから…子供は声がかけられるうちにかけておくのが…賢明じゃ…!
これは…まあわしの教訓じゃがな…。」
二人をしっかりと真っ直ぐ見据えながらニヤリと悪戯な殿らしい笑顔でごまかしたのを見て私は胸が熱くなった。
殿が幼い頃より辛い時や悲しい時があった時覚えた癖でもあったからだ…。
近くで信忠を失った痛みは…計り知れなかっただろう…。
でも悲しめないのが哀れめないのが…乱世の性…。
だから…殿は天下統一を望んだ。
悲しい思いや辛い思いを繰り返さない為に…。