『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
明石少年の頭を小突きながら背を押した。
「さあて…!
ヤスケ…!
待たせたのう!」
くるりと身を翻したヤスケは…白いハンカチで大きな涙を拭ってもらい泣きしていた。
「なんじゃ?
お主…!
白い手拭い程似合わないのはお前くらいじゃな!」
殿はヤスケのその姿を見てケタケタと笑い失礼な事を言っていたが…ヤスケはその巨体に似合わず大粒の涙を流した。
「Oh~!
ヤスケ…!
こーゆう話ヨワイ!!」
大声をあげて泣いてしまったので…なんだかみんな次第に呆気にとられてしまった!
「まあ…よいっ!
とにかく早く行くぞ!!」
面倒臭そうに言葉を吐き捨てた殿に扉から出てきたヤスケは…涙を拭いながらトラックに乗り込んだのを見送った後…。
「…御館様…!」
忠興さんが去ろうとした殿に向かって呼び止めた。
「お帰りを3人で心待ちにしております。」
忠誠を誓う忠興さんに続きガラシャさんも明石少年も跪いて一礼したのを見下ろした殿はフフッ…と悪戯な笑みを浮かべた。
「うむ…!
また…来る!
夫婦喧嘩もほどほどにな…!!!」
忠興さんもガラシャさんも殿に言われて‥お互い顔を赤らめて頷いた。