『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
言葉を一旦止めて殿を眺めた様子に怪訝な顔で諷馬が続けた。
「つうか…やめさせたほうがよくない??」
ヤスケと楽しそうに話す殿に詰め寄ろうと諷馬が腰をあげたのを徳家くんが制し首を横にふった。
「…確かに…。
普通の理屈じゃ考えらんないよ…。
でも…よく考えてみて…。
彼は…自分たちの現代の状況を否定することもなく受け入れてる。
昨日のDVDをみせられただけで…Ken-sinとKabutoの音楽のジャンルだけじゃなくそのグループの特徴まで見ていた洞察力と…ヤスケから聞き出したDJの情報を頼りに瞬時に状況を把握した機転の速さ…。
自分は父親が業界人だから…一応一通りの事は教えてもらってもハッキリそれが何かと言われればそこまで詳しいとはいえないけど…殿の場合は違う…。
膨大な量の情報をありのまま受け入れる事ができる器量さ…。
ひょっとしたら…ひょっとするかもしれないよ…!」
徳家くんが殿を眺める視線が少し以前と変わったように見えた。