『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
その言葉にみんな殿へと視線を定めた…。
確かに…。
殿はこの現代の生活に馴染んではいる…。
こうも…スムーズに戦国時代の人が馴染めるものだろうか?…というほどこの現代にきて戸惑いはしたけど…物怖じした話なんてきっと本やドラマでもみたことはないだろう…。
「サブちゃんなら…大丈夫!!
ママが保証するわよ!
だってうちの子供達よりノリもテンポもいいんだもん…!!」
「ちょっと…何それ?
でもノリやテンポかあ…。」
高らかな声を響かすたママの言葉の後…呟いた私を見ていた濃君が私の肩に手を優しくおいた。
「殿ならば…大丈夫…!!
なにせ…!!
うつけで天下取りに挑むワケですからね…。」
濃君がニコリ…と魅惑的な笑みを浮かべたのに周囲にいた者は…妙に納得して頷いた。
「そうね…!!
ここで…心配しても仕方ないわね!!」
楽しそうにヤスケとクラブの話をしているそんな殿のあどけない様子になんだか心を和まされた私達は一抹の不安を打ち消し…殿の周りに集まった…。
期待や不安が交錯する私達を乗せたトラックは目的地のクラブハウスまでの道のりを滑走し、着々と訪れゆく運命の対決へと距離を縮めていることなど知る由もなくしばしの休息をとりそれぞれやり過ごした。