『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
ひとまず外に出た私達は…外の空気を思いっきり吸い込んだ…。
「ヤスケ以外…全員いる…?」
振り返ってヤスケ以外のメンツの顔ぶれをみてひとまず安心したそのビルの隙間に何者かの黒い影がゆらりと待ち構えた。
「――忍びの匂いがする………。」
濃君がゆらゆらと蠢く影を目でおいながら…その数を確認した。
「さすが……ダテに美濃の蝮から送られてきたワケじゃなさそうだ………!!」
ゆらりと揺れる影の一つが動きをとめて突然声を張り上げた。
「――何が狙いだ……!!」
低い声で殿はその人物に対して問い詰めた。
「――チェックメイト…!!
完全に包囲されてますがな~。
もちろん…望みは鞄の中身の“魔王の書”と…殿のお命頂戴ですな‥‥‥。」
1人の忍びが言い終えるかしたり顔で笑うと‥影に潜んでいた他の忍び達も楔の切っ先を光らせた。
「包囲網か…。
あいつもやりおる…!?」
舌打ちをした殿は…私達が出てきた“Kawanakajima-island”〈カワナカジマ‐アイランド〉のビルの頂上から見下ろす人物を見上げて睨みながら口元に微笑を浮かべた。