『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 落ち着いてよく考えてみよう……。



 Ken-sinが“魔王の書”を狙っている理由があるとすれば‥彼ももしかしたらこの時代の者でないことになる可能性もある‥。


 そういえば…うちの家の古文書や八右衛門兄さんの手紙にもあった朝廷から遣わされた刺客という者と‥彼が何らかの関係があるのかもしれない‥。



 私はチラリと建物の屋上を見ながら‥今にも襲いかかりそうな連中を見つめた。



 ジリジリと迫りつつ忍びの連中に身構えながら‥ただ一点を見ていた。




 「面白い‥。
 丸腰で俺達とやり合おうなんてな‥。」



 忍びの1人がニヤリと笑った。



 殿はそんな奴らの挑発にも気にとめるまでもなく一点を睨みすえた。




 「なんだか…時代劇のような展開じゃない??

 これなんかの撮影かなんかなの??」




 こんな非常事態に脳天気なママは…近くにいた諷馬の肩をバシバシと叩きながらカメラを探す素振りに何時もならママに鋭いツッコミを浴びせる諷馬は…チラリとママを流し見しながら口角をあげたまま連中を見つめている不自然な様子に気づく…。




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